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外資系新卒の初任給を聞いてきた

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photo by Tax Credits

5月の初旬に来年から勤務予定の外資系金融機関の東京オフィスに呼び出しを受けた。来年からの契約条件について説明するからということで、かなりワクワクしながらオフィスへと向かった。

日系企業だと採用ページやリクナビなどの就職サイトに給料がデカデカと載っているので、恐らくこういうことはあまり無いのではないかと思う。こんな感じで。

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外資系企業は基本的に給与は非公開となっている。理由は単純で、給与を公開すると他社にそれより高い水準で人材を引き抜かれてしまうからだ。

オフィスに到着すると、同期も数名到着していた。同期と下ネタをしゃべりつつ(やっぱり学生なのだ)待っていると、人事がやってきた。オフィスのセキュリティーを通り抜け、会議室エリアに向かう。同じ時間帯に呼び出しを受けたから、てっきり一緒に説明を受けるのかと思っていたらそれぞれ別の部屋に案内された。

なぜ別々の部屋に案内されたかというと、外資系は新卒といえども給料が違うことが多いからだ。基本的に、外資系金融機関は部門別採用を実施している。日系企業のように総合職という大きな括りがない。そのため、部門間で給料が異なるのだ。

部屋でしばらく待っていると、日本人の人事1人とイギリス人の人事1人が部屋に入ってきた。このためにわざわざロンドンオフィスからやってきた訳ではなく、たまたま出張で来ただけのようだ。ついでだから日本の新卒を見物していこうという腹づもりだったようだ。さっそく、条件についての説明が始まる。

まず、細かな条件について記載された英文レターが渡される。基本的に外資系は書類も全て英語だ。そして、人事がそのレターにそって色々と説明を始める。条件を簡単にまとめると下記のような感じになる。

契約内容

①来年から東京オフィスで勤務すること。
②就業時間は月曜から金曜の午前8時30分から午後5時まで。
年俸640万円。これを12等分し、毎月53万円づつ指定の口座に振り込む
通勤手当支給。
引っ越し費用40万円支給
⑥試用期間あり。
社会保険完備。
⑧年間20日間の有給休暇あり。
⑨会社の就業規則に従うこと。

だいたいこんな感じだ。

年俸について

新卒1年目で何もわからない子供がいきなり640万円もらえるんだから中々素晴らしい業界だとは思うが、これでも低い方なのだ。

なぜかというと、僕が勤務する予定の部門はいわゆるバイサイドと呼ばれ、資産運用を担当している部署だからだ。高額年俸で知られるのはセルサイドと呼ばれ、企業買収やトレーディング、証券営業などを行っている部署だ。ただ、バイサイトはセルサイドに比べてだいぶまったりしており、過労死するほど忙しいことは稀だ。

そのため、年俸の目安としてはセルサイドの8割くらいと言われており、これくらいが妥当な水準だといえる。

ボーナスについて

では、ボーナスについてはどうか。驚くなかれ。僕の部署は初年度はボーナスが無い。正直、ビックリした。かなり動揺したのを覚えている。基本給が640万であり、初年度はその基本給のみだ。ボーナスが出るのは2年目からだという。

うーん、ボーナスをあてにしていただけにこれは苦しい。この600万円代というのは、税金や諸費用も考えると微妙に贅沢できるか出来ないかのラインにあたる。贅沢が出来ないことはないが、贅沢できることもないという蛇の生殺しラインだ。

福利厚生について

外資系金融に福利厚生は無い。最低限の保険はあるが、他は無い。もちろん住宅手当もない。スポーツクラブを安く利用できるくらいだ。これで基本給しか支給が無いのだから、1年目は中々つらいのだ。部屋はオフィスの近くに借りなくてはいけないから家賃も高い。ただ住宅手当はない。税金は高い。日系企業の福利厚生、見えない給料は改めてすごいと感じた瞬間だった。

あまり贅沢はできない?

恐らく日系企業に勤務する友人の2倍から3倍くらいの給与水準にはあると思うが、福利厚生も無く、家賃やスーツ代などの諸費用もかさむため、初年度はあまり贅沢できないと思われる。

外資金融の給料に期待していた分、少し残念なのが正直な感想だ。ただ、2年目からは実績に応じてボーナスも出るので、がんばって仕事に励みたいと思う。

サルになれなかった僕たち―なぜ外資系金融機関は高給取りなのか

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