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World Journal

外資系金融機関勤務の著者がFXなどの投資系、金融系コラムを中心に書くブログ

僕の外資金融就活日記 インターンシップ選考編 1-3

僕は関西の二流私大(しかも文系)に通う大学生で、1年生の頃は必修科目も含めて単位を落としまくり、真剣に大学中退を考えたほどの落ちこぼれ学生。

そんな僕が複数の外資投資銀行インターンシップを経て、最終的に外資系金融機関への就職を決めるまでの10ヶ月間の記録を残しておきたいと思う。かなり長くなるので、いくつかのパートに分けた。今回はインターンシップの選考についての記録。

グループディスカッション

インターンシップの面接については既に多くを語ってしまった。どこも似たような感じだからだ。だから、今回はグループディスカッション(GD)について語りたいと思う。

グループディスカッションは、学生が数人で与えられたテーマについて議論する選考だ。テーマは様々で「仕事とは何か」といった抽象的なものから「スターバックスの売上を2倍にする方法を考えろ」といった具体的なものまで千差万別だ。このGDは慣れていないと難しい。慣れていないと東大生でも容赦なく落ちてしまう。3社目の選考では面接とGDがあった。今回編成されたグループは4人一組だった。2人は東大の院生だが、ありがたいことに1人は中央大学の学生だった。まるで、生まれてからずっと友達であったかのような親近感を彼に感じてしまった。

そしていよいよGDが始まる。審査は面接官2人によって行われる。お題は、「ヒットするスマホアプリを考えて」であった。時間は20分だった。GDは先手必勝の勝負だ。議論を主導した者が評価されやすいのは当然だし、何より自分の有利な方向に議論を持っていきやすい。いかに自分のフィールドに他の学生を引きずりこむかが重要なのだ(もちろん、リーダー以外の役割でもちゃんと議論できれば評価される)。

議論の主導権を握れるかどうかが、開始3秒で決まる。この3秒間で主導権を握れる魔法の言葉がある。とても単純だが、重要な一言だ。それは「それじゃ、よろしくお願いします。」だ。この一言の効果は絶大だ。自分がこの議論を主導する意志があることを示すとともに、その後の議論につなげやすい。たとえば、この後に「まずタイムマネジメントから始めましょうか」といった誰もが賛成する提案をすれば、あとは自然にこちらが議論の流れを作ることができる。勝負は、議論の前から既に始まっているのだ。第一印象、最初の一言、これらはあらゆる交渉事や議論で強力な武器となる。勝負は対決前から始まっているものなのだ。

実際のGDはいかに論理的な議論をするかが争点となる。忘れないで欲しいのは、思いつきのアイデアで議論ばかりしていては全員が落ちる可能性があるということだ。今回の例でいえば、ヒットするスマホアプリは問いとして漠然としすぎていた。だから、これをいかにブレイクダウンしていくかが重要だった。まずは、ヒットすることの定義(主に目標ダウンロード数)から始め、その目標を達成する為に必要な母数はどれくらいか、その母数を有するターゲット層は何か、そのターゲット層が抱える潜在的な悩みは何か、それをアプリでどう解決し、どのような収益をとるか、といった議論の組み立て方が必要だった。だから、議論の前にどのような議論の筋道を描くかを話し合うことはとても重要なことなのだ。これをすっ飛ばすと、議論が迷子になり、説得力ある結論が出せなくなる。
コンサルティングファームといった特殊なケースを除けば、いかにもそれっぽいことをそれらしく発言すればGDは合格する。その点、理系の学生は不利だ。彼らは何かを発言する前にかなり考え込んでしまう。だから発言ができない。GDは時間が足りないのが常だから、議論のスピードも速い。すると当然議論についていけなくなる。なんとか発言しようとするあまり、思いつきの発言をしてしまう。この悪循環によって、理系の学生は本当は優秀なのにも関わらず、GDで落ちてしまうのだ。

 

今回はメンバーが優秀だったのもあり、議論がとてもスムーズに進んだ。面接も無難にこなし、この企業からも採用通知がきた。

面接番外編

相変わらずサウナにでもいるような暑さのある夏の日、10年以上使っているエアコンが壊れないことを祈りつつ、僕は自宅の部屋で待機していた。今日は電話面接があるのだ。電話面接というのは言葉で全てを伝えなくてはいけないから、対面面接よりも格段に難易度があがる。そして、電話を待っている間の緊張感は精神的に疲れるものだ。

約束した時間を5分ほど過ぎた時に、僕は急にトイレに行きたくなった。トイレ中に電話がかかってくるといけないので、自分の携帯を手にトイレに向かう。すると、突然携帯が鳴った。僕は自分の不運さを嘆いた。よりによって用を足している時に電話がかかってくるとは。しかも、こんな時に限って僕がもよおしていたのは大きいほうだったのだ。便座に座ったまま電話面接を受ける姿は、さぞまぬけに見えたに違いない。幸いなことに、僕のこの“便所面接”を見た者は誰もいなかった。

いそいで電話に出る。

面接官「ハロー」

僕はまたも自分の不運さを嘆いた。よりによって英語での面接だったのだ。英語の訛りがフランス訛りだったこともあって、相手がフランス人だとすぐに分かった。何が悲しくて自宅のトイレで便座に座りながらフランス人に面接されなくてはいけないのか。そして、最初の質問がまた困ったものだった。

面接官「君の金融のバックグラウンドを教えてくれ」

結論から言うと、そんなものはなかった。僕の大学での専攻は国際開発であり、金融とは無縁だった。正直に無いというと、オーケイと困ったような声で返された。

面接官「それじゃ、各国の金融緩和政策の潜在リスクとそれについての君の意見を聞かせてくれ」

このフランス野郎は俺の話を聞いていたのか?金融については何も知らないといっているだろう。僕は半ばヤケになっていた。そのときは、今ほど金融の時事ニュースを調べていなかったし、理解もしていなかった。だから、意味不明なことを言っていたと思う。しかも、あろうことか僕が必死に説明している間、このフランス野郎は「ちょっと待って」と一言いって、保留にしてしまったのだ。空しい電子音が僕の耳から入り、頭の中で反響する。数分後、また電話がつながり再開したが、僕はもう戦意喪失していた。結局、その調子で面接は終了した。面接終了後、僕は「このボンジュールワイン野郎」などという意味の分からない罵倒を繰り返していた。当然、不採用だった。

 

インターンシップ編2-1に続く(執筆中)

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々

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