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書類送検と逮捕の違いについて

ノンスタイルの井上氏が書類送検

お笑いコンビ「ノンスタイル」の井上氏が昨年タクシーに衝突して逃走した事故で、道交法違反と自動車運転処罰法違反の疑いで書類送検されるニュースが話題になっています。

お笑いコンビ「NON STYLE(ノンスタイル)」の井上裕介さん(36)が乗用車を運転中、タクシーに衝突して逃走したとされる事故で、警視庁世田谷署は、道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、井上さんを近く書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で31日、分かった。

 捜査関係者によると、昨年12月11日深夜、東京都世田谷区若林の都道で、タクシーに衝突して40代の男性運転手にけがをさせたが、警察への通報や救護措置をせずに現場から逃げた疑いが持たれている。

 出典:ひき逃げ容疑でノンスタイル井上裕介さん、書類送検へ 警視庁 - 産経ニュース

ニュース自体も非常に話題性があるのですが、みなさんは書類送検って何のことだかわかりますか。わかっているようで、実は知らないという人も多いのではないでしょうか。

せっかくの機会なので、今回は書類送検と逮捕の違いについて解説していきます。

逮捕から起訴までの流れ

書類送検を理解するためには、まず日本の逮捕・起訴のシステムを知らなくてはなりません。日本で犯罪を犯すと容疑者は下の画像のような流れで起訴されます。逮捕と書類送検はなんとなく似たようなイメージがありますが、手続き上全く異なる措置です。

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逮捕 とは

逮捕とは、容疑者の身柄を警察が強制的に拘束することです。警察官に捕まって、一時的に留置所などに拘束される、これが逮捕されている状態です。

実は、日本のシステムでは被疑者を起訴するかどうかは検察だけが決めることができます。つまり、警察で身柄を拘束しているだけでは有罪か無罪かは決まらないということですね。そのため、日本のシステムでは警察は逮捕後48時間以内に被疑者の身柄を検察庁に送致しなくてはいけないことになっています。

また、日本の捜査システムではこのように「逮捕して捜査するケース」と「逮捕しないで在宅のまま捜査するケース」があります。在宅のまま捜査するケースではこの48時間以内ルールは当然適用されません。

送致とは

送致とは、文字通り警察が被疑者の身柄等を検察に送ることです。この時、逮捕された被疑者の身柄が捜査書類と一緒に送致される場合と、被疑者の身柄が拘束されていない(逮捕されていなかったり釈放されたりした場合)時は捜査書類のみが送致される場合があります。

この書類のみが送致されることを書類送検といいます。つまり、書類送検とは捜査書類が警察から検察に送られることを言うのですね。この段階では捜査書類が検察に送られただけなので、起訴されるかどうかはわかりません。起訴されて有罪となった場合に初めて前科がつきます。

今回のノンスタイルの井上氏の場合も検察に捜査書類が送られただけですので、今後起訴されるかどうかはまだわかりません。

起訴とは

被疑者の身柄や捜査書類が検察に送られると、検察が起訴するか不起訴とするか判断をします。もし起訴されてしまい、有罪判決が出ると前科がつき犯罪者となります。

逆をいえば、起訴されて判決が出るまではわからないということですね。今回の井上氏はまだ起訴もされていないので、別に犯罪者になったけわけでも前科がつく訳でもありません。意外にこのあたりを誤解している方も多いので注意が必要です。

ただ、捜査対象となったことの記録は前歴として残ります。

書類送検になるケース

被疑者の身柄が強制的に拘束される逮捕が行われず、書類送検になるケースはいくつか考えられます。

1つ目は被疑者に逃亡の恐れがないと考えられる場合です。そもそも被疑者の身柄を拘束する逮捕は、被疑者逃亡や証拠隠滅を防ぐために行うものです。つまり、軽微な事件であったり、被疑者に社会的ステータスがあり逃亡する可能性がないと考えられる場合は逮捕の必要がないということです。

そのため、被疑者に逃亡の恐れがないと考えられる場合は逮捕はされず、検察への送致も書類送検だけということになります。

2つ目は、被疑者が死亡したり、入院して身柄の拘束がそもそもできない場合です。これは当然と言えば当然ですね。

今回のノンスタイルの井上氏のケースでは交通事故で死亡者が出た訳でもない軽微な事故であり、井上氏が逃亡する可能性もないと考えられるため、逮捕されることもなく、今回の書類送検という措置になったのでしょう。

書類送検されても前科がつく訳ではない

先ほども述べましたが、書類送検されただけでは前科はつきません。書類送検された後、検察が起訴して有罪判決が出れば前科がつきます。

通常、軽微な事故・事件では不起訴となることが多いようです。もちろん、起訴されることもありますが、今回の井上氏のようなケースでは不起訴になるのではないでしょうか。つまり、井上氏に前科がつくような可能性は低いということです。

今回はいい機会でしたので、逮捕と書類送検の違いについて解説してみました。

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