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初心者はこれだけ知ってればOK!金融マンが教えるiDeCoのポイント

ついにiDeCo(個人型確定拠出年金)が始まりましたね。掛け金が全額所得控除になったり、運用益が非課税になるなど大盤振る舞いの税制優遇によってかなり注目が集まっています。

でも、個人型確定拠出年金と聞いてもよくわからない人も多いでしょう。たしかに制度自体は少々複雑なうえに、普段聞きなれない税金用語を聞いてもピンとこない人も多いと思います。

そこで、今回は現役金融マンの1人として、難しい話は全部すっ飛ばしてとりあえずこれだけ知っていればOKというiDeCoのポイントを簡潔にまとめてみました。

iDeCoとは何なのか

iDeCo(個人型)とは何なのかを一言でいうと、自分で運用する年金です。

みなさんは国民年金や厚生年金に加入していますよね。この国民年金や厚生年金は公的年金といって、私たちが支払った掛け金を国が運用して、私たちの老後に年金として支給してくれるものです。

一方、iDeCoとは私的年金といって私たちが支払った掛け金を自分自身で運用して、老後に年金として利用する年金形態のことです。自分が支払った掛け金で投資信託などを自分の判断で購入して資産を運用し、老後に受け取ります。

運用がうまくいって儲かればより多くの年金を受け取れますが、うまくいかないと受け取れる年金も減ってしまいます。そのため、完全自己責任型の年金形態となっています。

何がお得なのか?

iDeCoは得だと色々なメディアで言われていますが、お得になるのは3つのパターンです。掛け金を支払うとき、運用しているとき、受け取るときです。どのパターンでも税制優遇を適用することでかなりの金額を節税できます。

1:掛け金が全額所得控除

所得控除ってなんだよと思った方もいるかもしれませんが、これがiDeCoの最大の魅力と言っても過言ではないのでここだけでもしっかり読んでください!

iDeCoは掛け金として支払った金額が所得から控除されます。所得から掛け金が控除されると、課税対象となる収入が減るので税金が安くなります。つまり節税です。

たとえば、年収500万円で税率20%の人は年間100万円税金を支払うことになります。しかし、iDeCoで毎年50万円を掛け金として拠出すると50万円が所得から控除されるので、年収450万円として扱われます。


年収450万円で税率が同じ20%だとすると、年間で支払う税金は90万円で、1年間で10万円も税金が安くなります。この節税効果が節税しながら老後資金を蓄えられると現役世代から注目を集めているようです。

2:運用益が非課税

iDeCoはNISAと同様に運用益に対して税金がかかりません。長期的な資産形成を考えるうえで運用益に課税される場合と非課税の場合ではかなり大きな差が出ます。

NISAも運用益に対して非課税ですが、5年などの期間限定です。iDeCoは運用期間中はずっと非課税(の予定)です。しかも、NISAは掛け金が所得控除もされません。節税という意味では圧倒的にiDeCoが有利です。

 3:受給時にも控除が受けられる

iDeCoは老後になって年金を受け取るときにも控除を受けることができます。適用される控除は2つあり、退職所得控除と公的年金控除です。

難しい話はまた別エントリーで解説しますので、ここではとりあえず2つの控除を適用することで年金受給時に節税ができると覚えておいてください。

注意すべきポイント

iDeCoは税制優遇がかなり大きなメリットですが、いくつか注意したいポイントがあります。

1:60歳までは引き出せない

iDeCoを利用して支払った掛け金は60歳まで引き出すことができません。普通の株式投資投資信託と違って簡単に売却して現金化することができないのです

つまり、節税になるからとバカみたいに掛け金を拠出するとひどい目にあります。一応掛け金にも上限がありますが、あくまで自分の生活水準に見合ったレベルで調整しましょう。

2:加入できない人もいる

iDeCoは国民のほとんどが加入対象ですが、加入できない人もいます。既に勤務先で企業型確定拠出年金を採用していて、毎月一定額以上の掛け金が会社から拠出されている人などは加入できません。自分の加入資格を調べたい人はこのサイトからどうぞ。

加入資格 かんたん診断|個人型確定拠出年金ナビ「iDeCoナビ(イデコナビ)」

3:掛け金には上限がある

所得控除になるからといくらでも掛け金を拠出できるわけではありません。掛け金には上限があります。自営業なのか会社員なのか、勤務先に企業型確定拠出年金はあるかなどによって掛け金は異なります。

たとえば、公務員の場合は月額1.2万円とかなり上限が低いですが、自営業の場合は月額6.8万円が上限です。自分の属性によってかなり上限が異なりますので、自分の上限がいくらなのか事前に把握しておきましょう。

オススメの運用方針

iDeCoは長期投資が基本になるので、原則は株式投資信託でのんびり運用することがオススメです。私も自分の年金は株式投資信託で運用しています。

なぜかというと、株式というのは長期的にみれば基本的に上昇するからです。今でも世界経済は成長しています。世界経済が成長すれば、企業の利益も増え、株価も上がる。単純な理論ですが、長期投資をすれば割と適当にやっても儲かります。

中でも世界全体の株式に投資する世界株式の投資信託は特定の国に投資先を限定しないので、世界経済が成長すれば株価も上昇しやすいです。特定の国、たとえばバブルの頃に日本株式に投資をしていたら、20年以上たった今でも損をしています。そうしたリスクを回避するために、世界株式というのはいい投資先だと思います。

節税分を考えれば投資も怖くない

iDeCoを始めようと考えている方はやはり投資で損をするのが怖いという人が多いようです。確かに損をするのは誰だって怖いですが、長期投資をすればかなりの確率で儲かるのであまり心配する必要もありません。

ただし、特定の業界や国に集中して投資をすると何かあった時にカバーできなくなりますので、広く分散して投資をすることをオススメします。

また、掛け金が所得控除されて節税になることを考えると、損をしても節税分でかなりカバーできます。こんな割のいい投資は滅多にありません。

現役金融マンの私がiDeCoについて感じたことは、こんなにおいしい話はほとんどないということです。大盤振る舞いの税制優遇に加えて長期投資をすればかなりの確率で利益があがります。

今まで投資に興味がなかったという人も、ぜひこのおいしい制度を使って投資を始めて欲しいですね。

はじめての確定拠出年金 (日経文庫)

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