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【独学】証券アナリスト1次試験の勉強方法

このたびめでたく証券アナリスト1次試験に合格した。
証券アナリストは専用の対策講座も受講できるが、そんな金ねーよという人用に独学で合格するための勉強方法を書いてみる。

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勉強時間

証券アナリスト協会によると、1次試験全科目合格した人の勉強時間は200時間程度らしい。個人的にも、それくらい勉強すれば十分合格ラインに達すると思う。
試験4か月前から勉強を始めて、1日1~2時間程度、土日に少し集中して勉強するくらいのイメージになるだろうか。
証券アナリストの1次試験は「財務分析」「経済」「証券分析」の3科目から構成されている。「財務」と「経済」で1か月ずつ、証券分析はボリュームが大きいので2か月くらいのつもりでいるとスケジュール感としては問題ないはずだ。

用意するもの

独学で用意するものは以下の通り。

関数電卓

証券アナリストの試験では計算問題が多々出題されるため電卓は必須アイテムとなる。また、累乗が出てくる問題もあるため、できれば関数電卓が望ましい。
普通の電卓でもできないことはないが、どうせなら関数電卓を用意しておこう。
ちなみに僕が使った関数電卓はこれ。安かったけど問題なく使えたのでおすすめ。

 

カシオ 関数電卓 数学自然表示 394関数 10桁 fx-375ES-N ブラック

カシオ 関数電卓 数学自然表示 394関数 10桁 fx-375ES-N ブラック

 

 ◆テキスト

テキストはこのTACのテキストシリーズがおすすめ。よくまとまっていてわかりやすい。証券アナリスト協会から送られてくるテキストよりもずっとわかりやすいので、基本はこのテキストで勉強をすすめる。

証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト 財務分析 2016年試験対策

証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト 財務分析 2016年試験対策

 

 ◆問題集

問題集もテキストと同じTACの問題集を使えばOK。過去問題がビッシリ掲載されているから過去問の勉強もできるし、重要度が3段階で示されているのでどれを重点的に勉強すればいいのかよくわかる。

◆証券分析補助テキスト

科目の1つである証券分析は数学的要素も多く含んでいるため、苦手な人は本当に苦手だと思う。僕も数学は大の苦手であり、問題集の解説を読んでもよく理解できないということが多々あった。
そのため、証券分析に限っては勉強を補助する教材を購入した。
以下の教材は非常にわかりやすく証券分析のポイントをおさえているのでおすすめだ。
不要という人は購入する必要はもちろんない。ただ、今までこういう勉強をしてこなかったという人は購入したほうがスムーズに勉強できるだろう。

証券アナリスト第1次レベル合格最短テキスト 証券分析とポートフォリオ・マネジメント〈2015〉

証券アナリスト第1次レベル合格最短テキスト 証券分析とポートフォリオ・マネジメント〈2015〉

 

 勉強の流れ

 まず、勉強をはじめる科目の順番から。
おすすめの順番としては「財務」→「経済」→「証券分析」となる。
証券分析は内容も結構難しく、ボリュームもあるのでいきなり証券分析から始めると心が折られてしまうかもしれない。
財務は暗記問題が多くとっつきやすいうえ、会計の基本も学べるので証券分析を学ぶ前の土台作りにもなる。

また、以前証券外務員一種の勉強方法でも解説したが、勉強の手順としてはまずは問題集から始めよう。実際の問題がどのようなものなのか実感しながら勉強できるし、解説もしっかりとされているので結局テキストを読むよりも問題を解いたほうが効率がいい。

実は、僕は最初証券アナリストのテキストを一回読んでから問題集を解こうとしたのだが、これが非常に効率が悪かった。
テキストを読んだ後に問題を解こうとしても、全然解けなかったからだ。

まずは問題集から始める。そして、わからないところをテキストで補うという形ですすめていくことをおすすめする。これは全科目共通の勉強方法となる。

world-journal.hatenablog.com

最低限知っておくべき知識「現在価値」

証券アナリスト試験で必ず抑えなくてはいけない知識が現在価値である。
財務分析と証券分析ではこの現在価値の概念が何度も出てくるからだ。
現在価値とは、たとえば1年後の100万円は、現在いくらの価値があるかという考え方である。

もう少しわかりやすく話そう。
金利が年10%で、現在手元に100万円あるとする。
金利10%ということは、この100万円は1年後には110万円に増えるということになる。逆にいえば、1年後の110万円の現在の価値は100万円ということになる。

これを計算式にすると以下のようになる。
110万円÷1.1(1+金利10%)=100万円

参考になる記事を見つけたのでよければどうぞ。

ファイナンス基礎理論 第7回「現在価値とは」 - 板倉雄一郎事務所


この現在価値の考え方は非常に重要なので必ず覚えておくこと。

「財務分析」の勉強方法

 では「財務分析」の勉強方法から。
財務分析は暗記問題が多いから余裕と思っていると間違いなく試験で痛い目にあうから注意が必要だ。慣れていないと最後の計算問題でかなり時間がとられてしまい、タイムオーバーとなってしまう。

基本的には問題集を繰り返す解くだけで問題ない。特に、最後の財務諸表分析は繰り返し勉強すること。この財務諸表分析が財務の半分を占めると言っても過言ではない。
過去問をいくつか解けば気付くと思うが、財務諸表分析は毎回問題こそ違えど、聞かれることは同じである。
ROE分解をし、収益構造を分析し、経営効率を分析し、安全性を分析する。
基本的にこの流れであり、計算しなくてはいけないことも同じである。
そのため、公式さえ覚えれば間違いなく解ける。
配点も非常に高いため、これが解けるか解けないかで合否が決まるといってもいい。財務諸表分析は何度も解いて公式を頭にたたきこむことをおすすめする。

あと重点的に勉強すべきポイントは、退職金の計算、リース、株式価値の計算の3つだ。テキストを読むと難しく感じるかもしれないが、実際の試験問題はそこまで難しくないので心配はいらない。
後は本当にただの暗記の問題なので、繰り返し問題を解いて頭に叩き込もう。

「経済」の勉強方法

経済も財務と同じく暗記が多くを占める科目である。
経済で特に重点的に勉強しておくべきポイントは、IS-LM分析、為替レートの計算、状態価格、ゲーム理論、消費者行動である。

経済は財務と比較すると、まんべんなく出題されるようなイメージとなる。そのため、経済は広く浅く勉強するイメージだ。
大問1つにつき問題が3つあるとしたら、そのうち2つ正解できればOKくらいのつもりでいいだろう。もちろん、全部正解するに越したことはないが・・・。

為替レートは少しややこしいが、購買力平価と実質為替レートの公式さえ覚えておけば最低限の問題は解ける。
状態価格も解き方の流れさえ覚えればすぐに解けるようになるので心配いらない。

証券アナリストの試験に共通していることは、問題はどれもパターン化されているということだ。つまり、パターンさえ覚えてしまえば後は数字を入れ替えるだけで正解できる。

ひたすら公式を覚えてそれを当てはめるだけ。出題の流れも大体決まっているから、パターンさえ覚えてしまえばこっちのものだ。
試験1か月前になると証券アナリスト協会が過去の試験問題を送ってくる。それを見れば、どの年も出題内容や出題の流れが大体同じであることがわかるはずだ。

経済も基本的な問題が解ければ合格できるので、広く浅く問題を解いておこう。

「証券分析」の勉強方法

証券分析は試験時間が3時間と他の2科目と比べても2倍、受験料も2倍というボリュームだ。計算問題も多く、テキストを見た初心者は泣きたくなるかもしれない。
でも心配はいらない。数学が全くできない僕でも合格できたのだから、勉強すればきっと合格できるはずである。

テキストや問題集を見ると非常に難しく感じるかもしれないが、実際の試験問題はそこまで難しくないので心配いらない。僕も最初に試験問題を見たときは想像していたよりもはるかに簡単だったので安心した。

証券分析はボリュームが多いが、財務分析と範囲が重複するものも多い。ファンダメンタルズ分析や株式分析などは財務分析とモロかぶりだ。そのため、先に財務分析を勉強しておくと幾分勉強が楽になる。

証券分析で特に勉強しておくべきなのはポートフォリオ理論(CAPM)、債券分析(フォワード・スポットレートの計算)、オプション、ファンダメンタルズ・株式分析だ。

オプションや債券分析は覚えることが多いので、全問正解を目指す必要はない。あくまで基本問題を解ければよしとすればいいだろう。
僕も本試験では普通に最後の問題などは無視した。
ファンメンタルズ分析や株式分析は財務分析とも重複している分野のため、しっかりと点数を稼ぐこと。

理解が難しい分野については、先ほど紹介した補助教材を使うといいだろう。

証券アナリスト第1次レベル合格最短テキスト 証券分析とポートフォリオ・マネジメント〈2015〉

証券アナリスト第1次レベル合格最短テキスト 証券分析とポートフォリオ・マネジメント〈2015〉

 

 証券分析は非常に難しそうに見えるかもしれないが、公式を覚えれば十分対応できる。
ひたすら公式を覚えて、問題を解けばほとんどの問題に対応できる。
全問正解を狙う必要はないので、正解できる問題を確実にとっていくスタイルで臨もう。

頭の良さは関係ない!勉強した人が合格する

証券アナリストの合否を決めるのは頭の良さではありません。
ぶっちゃけ暗記して頭に公式を叩き込むだけ問題を解いたかどうかなのです。

証券アナリストは暗記した者勝ちな試験なのです。
どれだけ数学が弱くても時間をとってしっかりと勉強すれば必ず合格できます。

試験自体もそこまで難しいものではありません(かといって油断しないように!)

しっかりと暗記して試験に挑みましょう。