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World Journal

外資系金融機関勤務の著者がFXなどの投資系、金融系コラムを中心に書くブログ

弟がバイナリーオプションの詐欺にひっかかりそうな件について

僕の弟は公務員なのだけれど、突然、公務員を辞めてバイナリーオプションで大金持ちになると言い出し非常に困っている。
家族全員でそんなことは辞めるように説得しているが、全く聞き耳を持たない。

なんでも、バイナリーオプションで大儲けしてタワーマンションに住んでいる高校の先輩が色々教えてくれるから大丈夫らしい。(この時点で怪しすぎませんかね・・・)
他の方はこんなときどうするんだろうだろうという知恵も借りたく、今回の記事を書いてみた。

■そもそもバイナリーオプションとは

念のため、バイナリーオプションとは何かということを簡単に解説してみる。
バイナリーオプションとは、簡単に言えば数分後の為替レートが現在より高いか低いかを当てるという単純な金融取引である。

たとえば、数分後の為替レートが今より高いことに1万を賭け、当たると1万8000円が支払われ、外れると1万円は全額没収される、丁半博打に近いゲームだ。

鋭い方ならおわかりだろうが、このゲーム、賭ける側が圧倒的に不利なゲームである。
買っても賭け金が1.8倍〜1.9倍にしかならないということは、勝率50%なら長期的に必ず負けるようにできている。
カジノで一晩だけ大勝ちすることがあっても、何度も通っていればいずれ破産してしまうのと同じ原理の金融商品なのだ。

■ここまでの経緯

では、なぜ弟がこのバイナリーオプションで大金持ちになると言い出したのか。

まず、弟は給料の低さに嫌気がさしていたようだ。弟は今年で公務員2年目、手取りは約15万円である。そして、この給料が今後爆発的に上がることはない。
公務員なので、自分の給料が何年後にいくらくらいになるかということは大体想像がつく。

高級車も買えない、タワーマンションにも住めない、贅沢な旅行もできない。そんな生活が一生続く。そんな現実を直視したときの閉塞感、無力感は想像に難くない。
正直、弟がバイナリーオプションに希望を見出す気持ちは痛いほどわかる。
現実を変えてくれそうなものがあるのなら、何でも手に取りたくなるだろう。

そんな時に現れたのが例の高校の先輩である。今年23歳だそうだ。
難波のタワーマンションに住み、バイナリーオプションで大儲けし、ちょっと前は香港で開催される投資家パーティー(?)なるものに参加していたらしい。

弟とは正反対の輝かしい生活。弟が一瞬にして心を奪われるのも無理はないと思う。
しかも、実際にタワーマンションの一室でバイナリーオプションで儲けるところまで見せてもらったらしい。1日で90万円稼いだそうだ。
ただでさえ心奪われた弟は、これを見て完全に信じきってしまったみたいだ。

弟いわく、先輩は投資ソフトを使っているそうで、勝てる場面がきたら「ピコーン」と音がなり、音がなったらボタンを押すだけで勝てるそうだ。
ちなみにこの投資ソフトは50万円だそうで・・・
怪しすぎるよぉ・・・この怪しい臭いだけで兄ちゃんご飯3杯は食べれちゃうよ・・・
ググったらこんなこと宣伝してるTwitterアカウントまであるしね・・・

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そして現在、もう公務員を辞めて先輩とバイナリーオプションで食っていくと主張しているというわけだ。

■疑問点

疑問①なぜそこまで親しくない弟に手取り足取り教えてくれるのか

いや、詐欺だからだろと言われればそれまでなんだけど、まだ特に出資しろだとか投資ソフトを買えという話は一切されていないそうだ。
弟がある程度のめり込んだ時に色々金の話が出てくるのではないかと想像しているが、そうなると本当にたちが悪い。

その時には公務員も辞めているだろうから、弟としてはもうその人の言いなりになるしかないわけで。むしろそうした話をしてくれたほうがこちらも弟を説得しやすい分、今回の「先輩」はかなり手慣れているのではないかと推測している。

疑問②弟に見せたバイナリーオプションで儲けるシーンのカラクリ

2つ目は弟で実際に見せたというバイナリーオプションで儲けるシーンのカラクリだ。
正直、弟はアホなので過去のチャートデータをそのままデモで使ってもバレない。

勝手な推測だけど、恐らく過去のデータをそのまま使ってデモトレードしているのではないかと思う。過去のデータならその後の動きもわかる。他の人にもこうして「儲けている」シーンを繰り返し見せているのではないだろうか。

それか、本当に当たる投資ソフトなのかもしれない(笑)

疑問③友人と一緒に取引するという謎慣習

弟の話の中で驚いたのが、取引する時は友人達と同時に同じ取引をするらしい。
弟いわく、先輩は良い人だから、友人に損をさせたくないらしい。
だから、友人に先輩と同じ取引を同時にさせているらしい。
いやー、先輩マジパネェッス(棒読み)

いや、本当にこのくだりは僕にも意味が分からなかった。
本当のトレードなら友人とやる意味なんて全く無い。
詐欺にしても同時に取引する意味ってなさそうだし、一体どういうことなのか僕にはさっぱりわからなかった。

ただ、弟は先輩は超いい人だと思っているみたいで頭を抱えてしまった。

■僕が心配していること

現状ではまだ実害がない(公務員を辞めそうになっていることを除けば)のでいいが、兄として非常に心配していることをいくつか。

①公務員を辞めた後のこと

恐らく詐欺だと思うので、公務員を辞めてしまい、詐欺だと気づいた後の仕事については非常に心配している。

弟は頭も良くないので、せいぜい肉体労働しかできない。
しかも、意志が弱いので肉体労働も恐らく長くは続かない。
結局、短期間で仕事がコロコロ変わるフリーターになってしまうのではないか。

それに比べれば50万円の投資ソフトを買ってしまうことなど安いものだと思う。

②名義を知らないうちに使われるのではないか

弟は世間知らずなうえに頭も悪いので、知らないうちに名義を使われてしまうのではないかと心配している。

気づかないうちに弟の名義で借金されていたり、保証人なっていることもあり得る。
弟には何か契約書だとか署名、身分証明書関係を相手に求められた時は必ず家族に知らせるように言っているのだが、変なところで頑固なため恐らく連絡しないだろう。

後になって弟の名義で借金が発覚した時には既に取り返しのつかないことになってしまう。僕が詐欺師なら、限界まで借り入れる。相手もそうするだろう。

■弟をどう説得するか

正直、僕はもう弟を説得する自信がない。
弟は完全に先輩に心酔してしまっている。

そして、その気持ちは分からないでもないのだ。
男なら、いつかは大金をつかみたいと考える。
金をつかんで、いい車に乗って、いい女を抱いて、いい生活を送りたいと思う。

そして、いまのままじゃその夢は一生叶わない。
そんな中に現れた救世主(先輩)に心酔してしまうのは仕方がないことではないか。
周りから見たらそんな胡散臭い奴を信じるのはバカバカしいと思うのだが、弟にとっては沈みゆく船の前に現れた救命ボートなのだ。

それを否定してしまっては、弟はますます意固地になってしまうだろう。
だからいまは、詐欺の被害を最小限に食い止める方向にシフトしようかと考えている。

知らないうちに名義を使われたりしないようにし、被害を最小限に食い止める。
つまり、あえて詐欺に乗っかる方向性で行き、弟には色々学んでもらおうと考えている。

もしかしたら、その先輩が本物で、弟を大金持ちにしてくれるかもしれない。
バカバカしいと思うのだが、あえて詐欺に乗っかってみるのも悪くないかもしれない。
後は高すぎる授業料を払わないように気をつけるだけだ。

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