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World Journal

外資系金融機関勤務の著者がFXなどの投資系、金融系コラムを中心に書くブログ

僕の外資金融就活日記 インターンシップ選考編 1-2

僕は関西の二流私大(しかも文系)に通う大学生で、1年生の頃は必修科目も含めて単位を落としまくり、真剣に大学中退を考えたほどの落ちこぼれ学生。

そんな僕が複数の外資投資銀行インターンシップを経て、最終的に外資系金融機関への就職を決めるまでの10ヶ月間の記録を残しておきたいと思う。かなり長くなるので、いくつかのパートに分けた。今回はインターンシップの選考についての記録。

面接2社目

朝6時、眠たい目をこすりつつ僕は新幹線に乗り込んでいた。今日は東京で面接があるのだ。外資投資銀行の素晴らしいところは、全ての会社から選考のための交通費が必ず出るということだ。新幹線は学割を使っても京都—東京間で往復2万4000円かかる。学生にとっては路上でカツアゲされるよりつらい出費なのだ(もし、あなたの財布に常に2万4000円以上入っているというのなら別だが)。新幹線の中では相変わらず呪文詠唱に取り組んでいた。呪文詠唱の間に、ふと窓の外を見る。見渡す限り田んぼが広がり、特に面白みのない風景が続く。就活中に、何度も眺めることになる風景だ。滋賀県民や岐阜県民、静岡県民には悪いが、滋賀と岐阜と静岡の風景は本当につまらないのだ。

そうこうしているうちに東京駅につく。東京というのはどこも人でいっぱいでとても息苦しい。そして、何度きても迷子になる迷宮そのものだ。おまけにラッシュアワーに巻き込まれると大変なことになる。僕は、選考やインターンシップ中に電車の中で少なくとも三度死を覚悟した。電車の中で圧死しなかったことを、今でも神に感謝しているぐらいだ。墓碑に、電車内で圧死した者ここに眠ると刻まれるのだけはごめんだった。

圧死しかけながらも、無事に面接会場に到着する。例に漏れず、黒のスーツを着込んだ就活生がたくさんいる。今日は東京オフィスでの面接だ。さっそく就活生が部屋に集められ、グループ分けされる。5人1チーム。彼らはライバルであり戦友でもある。そして、それぞれのグループごとに部屋に拘束される。今から地獄の面接ラッシュが始まるのだ。

しかし、ここである重要な問題が発生した。覚悟はしていたが、自分以外の学生はみな東大などの一流校出身だった。日本の学生の最上位に君臨するエリート達だ。僕が自己紹介をすると、どことなく気まずい空気が流れる。それもそのはずで、彼らはピカピカの高級車だ。対して、僕はオンボロ中古車である。高級車の売り場にオンボロの中古車が乗り込んできたのだ。しかも僕にとって都合の悪いことに、どの車も同じ値段なのだ!高級車と中古車が同じ値段なら、誰だって高級車を買うだろう。僕の役目は、いまはただのオンボロ中古車でも、時間が経てばプレミアムがついて高く売れますよと購入者を説得することだった。うまくいけば、半信半疑で買ってもらえるかもしれない。

いよいよ面接が始まった。面接官が2人1組で入れ替わり立ち代わり部屋に入ってくる。普通の面接官もいれば、くだけた面接官もいる。怖い面接官もいれば、何を考えているのかわからない面接官もいる。質問も自己PRから面白い話をしてまで様々だ。部屋も常にぴりぴりとした緊張感で包まれる。これを休憩なしで何回も繰り返すのだ。終わる頃には、みんな精神的にも肉体的にもクタクタになっていた。結論からいうと、僕のセールスはうまくいった。なんとかプレミアムがつくという嘘か本当かわからない話を売り込むことができたのだ。

面接の後には筆記試験があった。数学の筆記試験だ。しかし、これがとんでもなく難しいものだった(少なくとも僕にとっては)。試験中、あまりにも出来ないので時間が余って仕方なかった。仕方なく、鉛筆をこんこんしたりため息をついたりして他の受験生を威嚇する中学生のような真似をして時間をつぶした。結局、10問中1問しかできない始末だった。金融を目指す者がこんなことでは駄目だと承知でいうが、僕は高校の頃の数学の試験で50点以上とったことがなかった。大体いつも30点くらいで、1をつけられる瀬戸際だった。当然、微分積分もできない。試験後に東大生に解説してもらったが、何をいっているのかさっぱり分からなかった。インターンシップで知り合った就活生には志望業界を変えるべきだと言われたが、数学ができないから金融には向いていないなどという一般論などクソ食らえと思った。数学が駄目でも、金融業界で立派にやっていけると証明したかった。

 

結局、僕のハッタリはうまくいき、この企業からは採用通知がきた。

 圧迫面接

就職活動において出来れば避けたいが避けては通れないもの、それが圧迫面接だ。自分がいかにクズで無価値かという人格否定はもちろん、日本経済や金融業界といったテーマになると現役投資銀行マンからありがたいレクチャーが聞ける。

今回は米系投資銀行の債権部門の面接だった。待ち合い室の空気は既にピリピリしている。名前を呼ばれ、面接室へと入る。いよいよ戦いが始まる。
入った瞬間、嫌な雰囲気が瞬時に僕の体を包み込んだ。自分の前に面接を受けた学生達の死臭が部屋に立ちこめているのか、圧迫面接だということが部屋の空気ですぐに分かった。緊張しながら席に座る。面接官は2人、どちらもマネージャークラスだった。顔が既に怖い。

志望動機や自己PRを中心に質問がされる。圧迫面接の特徴の1つは、1つのことについてかなり深掘りされることだ。だから理論武装していないと必ずどこかで矛盾や”盛り”が出てくる。いわば濡れた雑巾を全力で絞ることが圧迫面接であり、僕ら就活生は水をパンパンに吸い込んだ雑巾だった。正直、何を聞かれたかはあまり覚えていない。ただ袋叩きにされた。それだけで十分だ。面接会場は文字通りお通夜状態だった。

僕は就職活動を通じて圧迫面接や圧迫に近い面接は何度か受けた。実際、就職予定の会社の最終がドのつく圧迫だった。しかし、圧迫面接の基本はビビってはいけないということだ。何かしら言い返したり、自分の考えをハッキリ相手に伝えることだ。あとは内心の動揺をあまり顔に出さないこと。図星を突かれたり痛いところを攻められても涼しそうな顔をして低姿勢で切り抜ける。戦場でぼーっと立ったままだと流れ弾で死んでしまう。自分の意見をしっかり言いつつ、あくまで低姿勢で相手に教えを請うようなスタンスで行くことだ。

僕の外資金融就活日記 インターンシップ選考編 1-3 - World Journalに続く。

ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち

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