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ホテルのバーでゲイのじいさんにナンパされた話

http://www.flickr.com/photos/68977046@N00/2090491537

photo by Odalaigh

 僕はお酒が好きで、よく一人で色々と飲みに行く。その日は金曜日で、ホテルのバーで1人で飲んでいた。なぜホテルのバーで飲んでいたかというと、ホテルのバーで酒飲むとか俺マジ大人!という典型的な大2病を発病していたからで、小学生がコーヒーを飲んで大人ぶる現象を20歳過ぎてから再現したにすぎない。

そのバーには葉巻も置いてあり、僕の大2病に拍車がかかる。1本1400円の一番安い葉巻を頼み、サッと火をつける。はずだったが、これが中々つかない。結局、オドオドしながらバーテンダーさんに火の付け方を教えてもらい、フーっと一服する。葉巻を吸ったことがある人はわかると思うが、葉巻はすぐに火が消えてしまう。しかし、そんなことはまったく知らない無垢な大学生の僕は、火が消えた葉巻を口に含み、ドヤ顔でウィスキーのロック(渋くてかっこいいと思ってる)を口に運ぶ。結局、途中でバーテンダーさんが火が消えていることを教えてくれた。それ以来葉巻は吸っていない。

そんなことをしていると、背後から熱い視線が注がれているのに気がつく。背中だけ日焼けするのではないかと思うくらいの熱い視線に耐えきれなくなった僕は、思わずエグ○イル並みの切れの良さでサッと振り向き、熱光線の源をさぐった。するとそこには、品の良さそうな外国人のおじいさんがにっこりとカクテルを傾けていた。

彼はおもむろにこちらに歩み寄り、「ご一緒していいかな?」と声をかけてきた。特に断る理由もないので、「もちろん」と僕は笑顔で答える。彼の名をフランクといい、アジア風インテリアのバイヤーをしているという。今年62歳になるという立派なおじいちゃんである。お互い自己紹介をすませ、フランクの仕事の話を色々と聞く事にする。フランクは、今日は滋賀でタンスを買い付けてきた(よく滋賀まで一人で行ったものだ)という話や、日本人のビジネスマンは決断が遅くて困るという話、日本人のクライアントとご飯を食べたが、彼は英語ができないし、私は日本語ができないから一言も口を聞かなかったというとんでもない話まで色々してくれた。

そんな平和なひとときも、僕の一言で全てが破壊されてしまった。
「奥様はご一緒ではないのですか?」
するとフランクは突然僕の手を握り、「私はゲイなんだ」と熱く語りかけてきた。うん?なんだって?ラストネームがゲイってことか?すると、この人はフランク・ゲイという中々のDQNネームの持ち主ということになるが。。。僕は混乱した。生まれてこのかた、ゲイと話した事は一度もなかったのだ。頭のどこかで、ゲイはネットでのホモネタだけの存在だと考えていた。だから、僕はかなり取り乱してしまった。

つまり、僕は62歳のゲイのじいさんに逆ナンパされたということか(正確には逆ではないが)。僕は生まれてこのかた逆ナンされたことが一度もなかった。初めての逆ナンが62歳の外国人のじいさんなんてなんか嫌だ。様々な思いが僕の中で交錯し、やがて1つの結論にたどり着いた。
「これはやばい状況だ。」
バーテンダーも慌てているようだ。それはそうだろう。60代のじいさんと20そこらの大学生が手を取りあい見つめ合っているんだから。

「僕はお酒を飲むと”うずいて”しまってね」。フランクが何かとんでもないことを言い出した。それは自分の中の野獣先輩がうずくということなのか・・・。いや、もうなんて言えばいいのかわからない。
「疲れているだろう。僕の部屋でゆっくりと休むといい。」
一体どこのどいつが、疲れているからという理由でサファリパークのど真ん中で休むだろうか。

「君はキュートだ。君の肌は柔らかく美しい。」資生堂のCMに応募しろということなのか・・・?(違)
ここまで褒められて嬉しくないというのも珍しい。とにかく、僕は自分のお尻をいかに守るか、そしてこの場から脱出するかだけを考えていた。脳みそを高速回転させて出てきた言葉が
「お母さんが夕飯作って待ってるから。」
いや、もうなんていうか情けない。脳みそをフル回転させて出てきた言葉がこれである。結局、母親に電話するフリをしながら、急いで会計を頼み、フランクに別れを告げる。フランクは悲しそうな目をし、いきなり僕の手の甲にキスをしてきた。でも、掘られるよりははるかにマシだと思い、その場を急いで後にした。

結局、僕のア○ルバージンをなんとか守ることができた。ホテルのバーは様々な人間の人生が交錯する交差点のようだ。今回みたいにちょっと面白い体験ができたりもする。暇があれば、ぜひ立ち寄りたい場所だ。